動き
私達は、効果が期待できるかどうか分からない化学療法を選択しなかった。病院側は、退院に向けて色々と動き始めている。
一つは、医療行為である痰の吸引を家族に覚えてもらう事。医者、看護士以外は家族しか行う事ができないその行為は、吸引用のチューブを使い、痰を吸い取るものである。簡単といえば簡単だが、気管切開をしている娘の喉から気管にチューブを入れる行為はなかなか勇気がいる。でも、それをやらないといけなくなる。退院とはそういう事だ。
入院している時は、看護士さん達が行ってくれた行為を、私達が行わねばならない。化学療法を選ばず、家族で過ごす時間を少しでも多くとりたいと思う気持ちとは裏腹に、面倒な事も多くなるのだ。それなりの覚悟が必要となる。悩みはつきない。